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開発組織のプレゼンスとエンジニア個人のバリューを高める。AWS認定取得の舞台裏とメリットを語る

ソニービズネットワークスでは、「AWSデジタルワークプレイスコンピテンシー」に加え、「セキュリティコンピテンシー」、「内製化支援推進AWSパートナー」など、様々なAWS認定を取得しています。
開発組織としてAWS認定取得を目指す背景や、取得までのプロセス、組織やエンジニア個人のメリットを、インテグレーション部部長・本間、クラウドインテグレーション課課長・國府、同課マネージャー・濱田が語り合いました。



AWSの技術に興味を持ってソニービズネットワークスへ

——はじめに、皆さんがソニービズネットワークスに参画するまでの経緯を教えてください。
本間:私はソニーのグループ企業でサーバー/ネットワークエンジニアとして従事していましたが、事業統合でソニービズネットワークスにジョインしました。ソニービズネットワークスではクラウド事業の立ち上げから参画し、現在に至ります。

國府:以前は※SIerにいて、サーバーインフラのハードウェアの調達や実装といった上流工程に携わっていました。その中で現在の現場に派遣されることになって、クラウド技術の面白みや最先端技術に触れたいという思いが強くなり、今に至ります。

濱田:私も新卒ではSIerに入社し、運用監視の仕事に従事していました。24時間のシフト制で、サーバーエラーのアラート対応をしたり、夜間バッチのジョブが停止した場合に修正したりといった業務内容です。入社して2年ほど経ったときに上流工程に携わりたいと思うようになり、AWSの技術に興味を持って、ソニービズネットワークスに入社しました。

※SIer:システムインテグレーターの略。クライアントの課題解決に向けてコンサルティングからシステムの設計・開発・運用・保守までを請け負う企業のこと。

 

「強み」をさらに尖らせ、他社との差異化を図るため、AWS認定取得に動く

——開発組織としてAWS認定企業を目指した背景を教えてください。
本間:一番大きな目的は、他のAWSパートナーとの差異化です。2015年にクラウド事業を立ち上げた際には、エンジニアのスキルを活かしたインテグレーションに加えて、AWSのノウハウが少ないお客様でも簡単にAWSの運用が可能な独自開発の運用ツール「クラウドポータル」と、元々強みだったネットワークサービスを組み合わせて、『インフラ、ソリューション、運用をワンストップで提供できる』という優位性がありました。

しかし、昨今のようにクラウドが一般化してお客様の中でもノウハウが蓄積され、さらにはAWSパートナーが増えていく中で、強みを一層強化しないと競争に遅れを取る可能性が高まっています。そこで、AWS認定を積極的に取得して差異化ポイントを作り出そうと、活動を開始しました。

2022年には「AWSデジタルワークプレイスコンピテンシー」
2023年には「セキュリティコンピテンシー」
そして、2024年に「内製化支援推進AWSパートナー」を取得。
他にも「Amazon EC2 for Windows Server パートナー」など様々な認定を取得していますが、特に難易度が高いのは最初の3つでしたね。

■AWSデジタルワークプレイスコンピテンシー
VDI(仮想デスクトップ基盤)等のリモートワークに関する高い技術と実績を備えていることを証明する認定。当社は国内5社目の認定です。

■セキュリティコンピテンシー
AWSに関するセキュリティに関する技術力や専門知識、実績を備えていることを証明する認定。当社は国内3社目の認定です。

■内製化支援推進AWSパートナー
AWSの内製化にハードルを感じている企業へソリューションを提供し、内製化をサポートするAWSパートナーに与えられる日本独自の認定。


——AWS認定がいくつかある中で、この3つを取得しようと思ったのはなぜですか?
國府:3つのうち「セキュリティコンピテンシー」は、AWSのパートナーがどんどん増えている状況で、自分たちの強みを尖らせるために取得に踏み切りました。日本国内で取得している企業が少なく、セキュリティに専門性を持っていることを証明するメッセージにもなると考えたのです。
もう1つ、我々のもともとの強みであるネットワークとセキュリティの親和性が高かったことも大きな理由ですね。

本間:「セキュリティコンピテンシー」に関してもう1つ付け加えると、我々は特定の業界に特化したアプリケーションやプロダクトを提供しているわけではなく、様々な業界のお客様に向けたインフラ環境を提供しています。そういう意味では、セキュリティはどんな業界にもニーズがある。
そこが、幅広い業界のお客様に対してAWS運用を支援するという我々の狙いと一致しました。

——「AWSデジタルワークプレイスコンピテンシー」や「内製化支援推進AWSパートナー」もやはり、競合との差異化や強みの強化といった目的が大きかったのでしょうか。
本間:そうですね。当社はコロナ禍でテレワークに移行する企業が増えていく中、環境の変化に素早く対応してお客様が求める適切なサービスを提供するために、AWSの仮想デスクトップサービスであるAmazon WorkSpacesの提供に注力してきました。その際に培った様々な導入ノウハウが「AWSデジタルワークプレイスコンピテンシー」の取得に活かせると判断し、動き始めました。

「内製化支援推進AWSパートナー」は、我々のサービスである「マネージドクラウド with AWS」のそもそものコンセプトがお客様のAWSの内製化、運用を支援するものであるため、当社との親和性が高いと判断しました。

手探り状態のプロジェクト。メンバーが主体的に動き、要件クリアのための「正解」を積み上げる

——AWS認定取得までのプロセスについて、それぞれどう進めていったのか教えてください。
本間:認定取得をするためにプロジェクトチームを結成し、それぞれ役割分担をして、いつまでに何をするかスケジュールを立ててからスタートしました。

開発組織として初めて認定取得にチャレンジしたのが「AWSデジタルワークプレイスコンピテンシー」でしたが、とにかく手探り状態でしたね。
認定取得のためにクリアしなければいけない項目がいくつもある中で、一つひとつの項目をどれくらいのレベル感で達成すればいいのか分からない。
自分たちで正解を見つけていくプロセスが何よりも大変でした。

——「セキュリティコンピテンシー」は國府さん、濱田さんが中心となって認定取得に動いたのですか?
國府:そうですね。「セキュリティコンピテンシー」はクリアしないといけない項目が全部で144項目あります。私はその進捗管理や方向性の策定、項目をクリアするにあたって他部署との連携といったチームマネジメントに特化した役割を担いました。また、セキュリティコンピテンシーチームには運用監視など下流工程出身のメンバーが多かったので、要件定義書や仕様書、基本設計書など上流工程で必要とされる各種ドキュメントは私が作成しました。

濱田:僕は技術的な部分の実装や、実際の構築作業を担当しましたね。特に、項目の1つに「AWSのセキュリティサービスについて、お客様にインテグレーションできる技術がなければならない」という要件があって、それをクリアするためにお客様に共通する課題を見つけ、実際にツールを設計・構築し、お客様へご提案をするといった一連の動きを担当しました。

——「セキュリティコンピテンシー」と「AWSデジタルワークプレイスコンピテンシー」は、両チームが連携を取りながらプロジェクトを進行していたのでしょうか。
本間:コンピテンシーという枠組みの中で共通してクリアしなければいけない項目があったので、お互いに情報交換しながら進めていました。認定取得するためには最終的に第三者機関に監査をしてもらわなければいけないのですが、監査の特徴を共有できたこともよかったです。「AWSデジタルワークプレイスコンピテンシー」の取得で取り組んだことが、「セキュリティコンピテンシー」の取得でも役立ちました。

——AWS認定を取得するうえで、何が一番大変でしたか?
濱田:「セキュリティコンピテンシー」で言うと、我々はセキュリティの強みを押し出した活動をしてきたわけですが、その「強み」を具体的なエビデンスを示して証明する必要がありました。そのエビデンスを準備する過程が大変でしたね。

例えば、AWSが提示する要件に準拠できていることを証明するためにドキュメントを作って納品しなければならなかったり、普段どんな提案書を使っているか、どんな事例を扱ってきたかを示したり。そのために、お客様に対して事例としてAWS側に内容を公開してもよいか折衝したり、セキュリティの強みを示すためのソリューションを開発したりと、本当に様々な準備が必要でした。

——それはかなりの時間が必要そうですね。
本間:そうですね。「セキュリティコンピテンシー」や「AWSデジタルワークプレイスコンピテンシー」はそれぞれ準備に1年間ほど費やしました。特に、認定取得に必要な具体的事例と合致するような事例を提示できるかという部分はかなり大変でした。

「内製化支援推進AWSパートナー」に関しては、内製化を促進するためのセキュリティアセスメントメニューを作って、実際にお客様先に導入して実績化する一連の流れを、濱田が主導してくれました。これはAWS認定を取得しようという目標に向かって、エンジニアが主体的に活動した非常にいい例です。

濱田:このときは、「セキュリティコンピテンシー」の基本的なソリューション設計をすべて一任していただいて、いろいろなお客様の話を聞いたり、サービスを調べたりしているうちに、セキュリティ課題に気付けたことが大きかったですね。

現場でお客様と接して、「そもそもどんなセキュリティ対策をすればいいか分からない」「現状が把握できていない」といった共通の悩みを持っていることが分かりました。であれば、そこをアセスメントしたうえで改善提案をするサービスを作れば、刺さるのではないかと。そこで自分から「こういうものが作りたいです」と手を挙げて、実際にメニュー化をしました。

——限られた時間で様々な項目をクリアしていく中で、プレッシャーはなかったですか?
濱田:確かに要件が厳しくて、与えられた締切に対するヒヤヒヤした思いは常に感じていました。ただ、もともと「AWSデジタルワークプレイスコンピテンシー」を取得すること自体が目的ではなく、コロナ禍でワークプレイスをどうやって提供していくかが前提にあって、ナレッジが蓄積されていたから認定取得に挑戦しようと、目標設定をした経緯があります。得意分野から目標設定するというプロセスを踏んでいたので、そういう意味では落ち着いて対応できていたと思いますね。

國府:チームマネジメントの立場としては、取得までのプロジェクト期間が長期スパンであったため、中だるみをしてしまったり、答えが見つからずチームのモチベーションが下がったりすることがありました。ですので、私は主に、メンバーの気持ちや不安を解消することに注力しましたね。最終レビューが終わるまで、アプローチしてきたものが正解なのかが分からなかったので、メンバーたちはつらかったと思います。

濱田:「AWSデジタルワークプレイスコンピテンシー」の認定を取得してからはモチベーションが戻りましたよね。「これが正解なんだ」という感触がつかめたので、持ち直すことができました。

AWS認定取得で企業の信頼性向上とメンバーのスキルアップを実現

——AWS認定を取得してみて、組織として何か変化はありましたか?
國府:自分たちの明確な武器ができたのは大きなことでしたね。コンピテンシーを取得したということは、APN(AWSパートナーネットワーク)の中でも特に専門性を持っていることをAWSから認定されたことになります。お客様にご提案する中で、そのひと言が言えるようになったことは成果の1つだと思います。

濱田:セキュリティの技術にお墨付きをもらえたのは大きいですね。だからこそアセスメントを任せてもらえる部分がありますし、我々も自信を持ってお客様に提案できるようになりました。実際に案件としても、今期は4〜5件、アセスメントが増えています。

本間:2人が言ったことはまさしくその通りですね。あとは、認定取得を目指す中で、AWSが求めているベストプラクティスに対し、我々に足りていなかった部分が見つかったのも大きな成果だと思っています。そこを改善して今後のサービスに活かすことで、よりサービス品質を上げていきたいです。

——今回取得したAWS認定を維持していくために取り組んでいることはありますか?
濱田:例えば「セキュリティコンピテンシー」の場合、資格の保有者がいることが要件になっているので、資格の取得支援に力を入れています。業務時間内のどこか1時間を使って、有志で集まって勉強会をしたり、すでに資格を取った人が他の人に教えたりするなどして、AWS認定レベルの実力を維持するために取り組んでいます。ちなみに私はソニービズネットワークスに入社するまでAWSに触れたことはなかったのですが、入社後にAWSの資格はすべて取得し『2024 Japan AWS Ambassadors』に選出されました。

國府:挑戦したい人に対するサポート体制が整っているので、あとは本人がどれだけ高みを目指すかですね。濱田のような第2、第3のAWSのトップエンジニアが生まれる環境は整っていると思います。

——改めての質問ですが、AWS認定を取得することは企業にとってどのようなメリットがあるでしょうか。
本間:認定取得していることで、お客様から「この企業に安心してお任せできる」と思っていただけるプレゼンスの向上が最大のメリットだと思いますね。また、AWSビジネスに取り組むうえで、AWSとの連携が不可欠なのですが、認定取得することでAWSとの関わり合いを強化できるのも大きなポイントです。

國府:そうですね。ブランディング、マーケティングの側面から見ても強いですよね。AWS主催のイベントの中にはコンピテンシーを取得した企業でなければ参加できないものもあって、そうした場で情報発信や収集ができるのは大きいですし、AWSパートナー同士の横のつながりができるのもメリットに感じています。

濱田:今後も、会社がAWS認定に挑戦してくれることで個々のモチベーション向上につながっていると感じます。部活の試合ではないですが、こうした認定取得に取り組むことは自分の限界を試す機会になります。難しい課題に向かって、どうすれば攻略できるかを考え実践するというプロセスを踏ませてもらうことで、各自のスキルを底上げできます。エンジニア個々のスキルアップができれば、ひいては開発組織全体のレベルアップにもなるという、よいサイクルが回せるのではないでしょうか。

新たなAWS認定取得に向けて。「エンジニアにとって挑戦の機会は無限」

——今後AWS認定企業として、新たに挑戦しようと考えているプロジェクトがあれば教えてください。
本間:AWS認定の中の「生成AIコンピテンシー」に挑戦していきたいです。また、我々は中小企業のAWSの運用ノウハウがないお客様に向けた支援メニューを用意していますので、「SMBコンピテンシー」にもチャレンジできればと考えています。

國府:そうですね。今本間が言ったことは部内でも共通認識ができていて、すでにそこに向けて意識の醸成が始まっています。もしまたコンピテンシー取得に向けた活動が始まるのであれば、チームマネジメントやチームメイクの部分で携わっていきたいです。

濱田:今後も、新しい技術には継続的にチャレンジしていきたいです。特に生成AI市場は今後何倍にも大きくなると予想されているので、新しい領域に乗り遅れることがないよう、ビジネス的にも、個人の価値向上という側面でも、全力でチャレンジしたいと思っています。

本間:なおAWS認定取得は、我々開発組織だけでなくいろいろな部署が関わって、会社全体で協力して取り組んでいます。今後新しく開発組織に参画される方にも、ぜひチームの一員に加わっていただけたらと思います。

——今後再びAWS認定の取得を目指す中で、新しく入社するメンバーにはどんなマインドで臨んでほしいと思いますか?
濱田:何よりも技術が好きであること。技術が好きだからこそ、新しい領域に貪欲にチャレンジできるのだと思います。ソニービズネットワークスには挑戦の機会は無限にあるので、自分から手を挙げてチャレンジできる方が向いていると思いますし、そういう方と一緒に働きたいと思っています。

本間:そうですね。新しいチャレンジには答えがないので、自分で模索していかなければならない。課題を見つけて一つひとつクリアして、ゴールに近づいていく。そこを主体的に、自ら考え実行できる方の参画をお待ちしています。

(この記事は2024年12月時点の内容です。)


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